登録者数100万超『ゾゾゾ』が貫く“独自路線”(ゾゾゾ提供)
暑い夏の定番として挙げられる“ホラー”。近年、動画投稿サイト「YouTube」上で大きなムーブメントが巻き起こり、毎日のように多様なホラーコンテンツが生み出されている。オリコンニュースでは今回、ホラー系YouTubeチャンネルの先駆けとも言えるチャンネル『ゾゾゾ』に独占インタビューを実施。ディレクターの皆口大地氏と、出演者の落合陽平にチャンネル開設の経緯や動画制作の裏側、ホラーコンテンツが急拡大する現状についても語ってもらった。
【写真】病室にはベッドが無造作に…タイにある廃病院の衝撃の内部
2018年に誕生したホラーエンターテイメントプログラム番組『ゾゾゾ』。ホラー要素を軸としながらも、メインパーソナリティーの落合ら出演者同士の独特な掛け合いや皆口氏の巧みな映像編集などが人気を集め、現在チャンネル登録者数は100万人を突破している。今月14日に公開された最新作『夏の特別編2026 行ってはイケない恐怖の日本全国ツアースペシャル!』は公開から3日間で再生回数100万回を達成するなど、レギュラー投稿が終了して以降も、根強い人気を誇っている。
■「やってみよう!」で始まった『ゾゾゾ』の撮影 当初の想定は心霊スポット版“食べログサイト”
――チャンネル誕生の経緯を教えてください。
【皆口】自分が落合さんが社長だったベンチャー企業に入ったことが大きなきっかけです。かなり自由な会社だったんですが、ある上司との雑談で「なんかやりたい事業とかないの?」って言われまして。考えた時に、自分が好きで何かできることって、ホラーだったんです。だからそのとき、「ホラーポータルサイトとか立ち上げてみたいですね」って言ったんです。
最初は会社の事業としてやる考えだったんです。それこそ食べログのようなサイトを立ち上げて、広告をつけて、お金になればいいなんて。何も考えてない感じで答えたっていうのが元祖ですね(笑)。
【落合】お酒を飲んだ時に皆口くんから「やりたいんですよね」みたいなのをなんか言われたような記憶が…。当初はホラーの市場もわからないし、何が売れているとか、業界のことを全く知らないっていうのもあって。これはちょっと会社の役員を説得できないだろうなって個人的には思いました。でも(皆口くんから)、意志を感じたので、副業かなんかで個人的にやるんだったら手伝うよって、お酒飲みながら伝えたんです。そしたら、あの第1話ですよ(笑)。ほんとに「え?」っていう感じで、そのときにYouTubeに出すって知ったぐらいです。
――かなり突発的な船出だったんですね。
【皆口】まずやってみようが先行しましたね。落合さんではない、別の上司に「心霊スポットをデータベース化したら面白いと思うんですよね!」って言ったら、「どうやって集めるの?」「そのお金はどうするの?」ってすごい詰められて…。悶々としていましたけど、とりあえず落合さんが手伝うよって言ってくれていたので、心霊スポットに行って、その怖かったか怖くなかったかをレビューする、その過程を動画にしたら楽しくデータベース作りができるんじゃないかって思って、やってしまえ!とは思いましたね。
――撮影当初、動画の方向性など明確に定まったものはあったのでしょうか?
【皆口】テレビで放送されていた『金田一少年の事件簿』『奇跡体験!アンビリバボー』とかを恐る恐る見ていました。また中高生くらいになったらレンタルショップに入り浸って、『呪いのビデオ』みたいなタイトルのDVDをすごく見ていましたね。
特に参考にしているコンテンツはないですが、自分が好きで見てきたホラーの文脈みたいなものは大切にしています。自分が好きなホラーはこういうことしないとか、こういうこと言わないよね、みたいな。こうした感覚は『ゾゾゾ』でも大事にしています。
【落合】感じたことをそのまんま出そうと、考えています、それは『ゾゾゾ』を始めて間もない頃に、「落合さんは視聴者の代表だから」と。「本当は怖いのに怖くないふりをするとか、そういうのは一切しなくていい。そのまま、感じたことを表現してください」って皆口くんから伝えられたんです。だから、今もずっとそうしていますね。
【皆口】落合さんって、昔からお調子者で…(笑)。動画にするとなると、変に自分を作ってしまうんじゃないかと思ったんです。つまらなかったらそれでいいし、怖かったら怖い。「自分が面白くするので、落合さんは自然体で出てください」といったニュアンスで伝えましたね。
――落合さんに加え、内田雅士さん、長尾将三郎さんら、黎明期からそれぞれのキャラが際立っていますね。お二人はどのようにチャンネルに参加していったのでしょうか?
【皆口】動画を撮影して見て、二人きりって結構大変だったので、2話目で内田にスタッフとして入ってもらったんです。長尾くんにも自然な流れで声を掛けていましたね。
【落合】キャラクターに関しては、一緒に動画を作っていく中で自然と分岐していった気がします。それぞれのキャラが立っているなと、やっている自分でも感じています。
■動画クオリティには絶対の自信 突然のバズも「やっと見つけてもらえたかなって」
――2018年にチャンネルを開設し、今に至るわけですが、波に乗ったと感じた瞬間はありますか?
【皆口】それは明確にありました。現在は非公開になってしまっているんですが、第12回『白い家とお化け坂』(2018年11月)は明確に跳ねましたね。それまでは再生回数が100回いったら拍手ぐらいのスピード感だったんですけど、『白い家』のエピソードを出した次の日が撮影だったのですが、落合さんと合流して出発したらもう300回、道中で500回と増えて、登録者数も急増したんですよね。
だからもしかして落合さんが「お金で買ったんじゃないか」って思ったくらいで、信じられない跳ねっぷりでした。でも良いものを作っている自負はあったので、「なんでこんなものが?」っていう驚きは一切なかったです。やっと見つけてもらえたかなって思いましたね。
――今、「良いものを作っている自負」との言葉がありましたが、動画制作の上で大切にしている考え方はありますか?
【皆口】自分はデザイナー畑でやってきたクリエイターなので、作るものにものすごい愛着があるんです。ちゃんと作りたいっていう気持ちが強いから、基本的にゾゾゾは生配信もやらないんです。見ても見なくてもいいものは絶対に出したくない。視聴者さんに対する発信として、「出したものは絶対見てください。面白いので!」っていうスタンスは1話目から変わらないです。
――ゾゾゾチャンネルをジャンル分けしたとき、何が一番適切なのでしょうか?
【皆口】誤解を恐れずに言うと「エンターテイメント」です。1話目の動画の上にホラーエンターテイメントプログラム「ゾゾゾ」というロゴがついている通り、それは当初から決めていました。
ただホラー番組をエンターテイメントと名乗ることの可能性の一方で、危険性も感じていました。だからドキュメンタリーと言った方がいいんじゃないかとかいろいろ考えたんですけど、やっぱり落合さんと番組をやるとなったときに、ドキュメンタリーと名乗ってしまうとおそらく『ゾゾゾ』のやりたいこと、可能性を狭めてしまうなと思ったんです。またちゃんとドキュメンタリーで勝負している方々にも失礼に当たるのではと思い、これはエンターテイメント番組にしようと思いましたね。ただの自称ですが。
■身の危険を感じた撮影も…気になる“お祓い”事情 困難を極める撮影場所の確保
――これまで各地の心霊スポットに赴いていると思いますが、撮影場所はどのように確保しているのでしょうか?
【皆口】撮影の許可を取る際、奇跡的に連絡先がわかるところは、電話やメールもしますけど、そういった場所はほとんどないです。やっぱり現地に行って住所を調べたりして、とかですよね。でも所有者がわからないことがほとんどですし、「いいよ」って言ってくれる場所は少しです。だから撮影を断念する場所はたくさんありました。それこそ視聴者さんから「ここのここが有名なので行ってください」って言われるんですけど、アタックしたけどダメだった場所が多いんですよね。
――これまでの現場で印象に残っている場所、経験を教えてください。
【落合】身の危険を肌で感じたのは、「首狩り神社」「取り残された廃屋」の2ヶ所ですね。心霊的な怖さとは別次元の恐怖ですね。あとは一昨年行ったタイの廃病院です。あそこには儀式の跡があったりして、本当に絶望したんです。しかも何となくわかったんです。ここで実証実験だなって。その時は初めて怖すぎて身体が動かなくなりました。途中大きな音とか鳴るんですけど、もう走れないんです。だから想像の範疇を超えた現象ってあるんだなと。そういったものには恐怖を感じますね。
――視聴者として気になるのですが、毎回お祓いは行くのでしょうか?
【落合】メンバーみんなでとか、会社でお金出してってことは一度もないんですよね(笑)。
【皆口】でも視聴者さんが心配してくださって、塩をよくもらうんです。だからそれを持って帰ったりしています。
【落合】お祓いに行くんですか?ってよく聞かれるんですけど…なんでしょうね。おそらく自分はホラーというものに深入りしていないから、深く考えないんだと思います(笑)。
――でも落合さんのそういったテンション感が多くの視聴者を引き付ける理由にも感じますね。
【落合】そうなんですかね(笑)。個人的に複雑なのは、「怖い!」ってリアクションしたり、逃げたりとかするじゃないですか。それを、イベントに来てくれたファンの方が「いや、あれすごい面白かったです」とか、「落合さんが叫んでいるのがもう笑っちゃうんすよね」みたいな。バラエティとして、その落合のリアクションが面白いんですよねって言われるのは正直うれしいんですけど、うん、ちょっと複雑な…。そんなつもりでやっているわけではないんですけど、それを楽しんでくれる視聴者の方が多いのも事実ですよね。
■チャンネルの魅力は視聴者と作り上げた信頼関係 大事にしている“ゾゾゾ”らしさ
――現在登録者100万人超と、多くの人に支持されている事実があると思います。その理由をお二人はどう考えていますか?
【皆口】やっぱり見なくてもいいような作品は出してない。それが視聴者の方にも伝わっているのかなと思います。だから、信頼関係じゃないですけど、『ゾゾゾ』の新作は間違いないよって。
【落合】やはり緩急があるところが『ゾゾゾ』ならではの部分なんじゃないかと思います。 笑えたり、笑えなかったり、動画の中にそういう要素がちりばめられている。視聴者が見ていて飽きないものになっているのかなとは思います。
――皆口さんも“ゾゾゾ”らしさは大切にしている?
【皆口】すごく大事にしています。だけどそれは出ているメンバーが醸し出すやっぱり味だと思うんです。自分からしたらそれは結果論というか、もう(動画)素材からにじみ出ています。
――皆口さんから見て、特に“ゾゾゾ”らしさが凝縮されていると感じるエピソードはありますか?
【皆口】それは、今年の夏の特別編2026になりますね。これは宣伝ではなくて、本当に今までの中で最も『ゾゾゾ』らしいかもしれない。笑えるところも、怖いところも惜しみなく。両方がすごい主張しているんです。落合さんが話していた「らしさ」みたいなところが、120パーセントぐらい詰まっているんじゃないかなっていう気はしていますね。
――ゾゾゾチャンネルの今後の展望を教えてください。
【皆口】展望と言いますか、今こうして多くの方々に見てもらえている状況に満足しているので、さらに上を目指すぞみたいな気持ちはあまりないんですが、2年後にはチャンネル開設10周年を迎えるんです。だから10周年はいろいろやりたいという気持ちはありますね。
■空前のホラーブームに本音 消費スピードに危機感を感じているからこそ「流行りには良い意味で影響されないように」
――ゾゾゾの魅力をたっぷり語っていただきましたが、そもそもなぜホラーは人を引き付けるのだと思いますか?
【皆口】例えば映像のジャンルとしてアクションやラブロマンスというものがあると思うんですが、好きな人、嫌いな人のほかに、興味がない人って多いと思うんです。その一方でホラーって好きか嫌いかの二択だと思うんです。それって、良くも悪くも人はホラーに囚われてしまっているんだと思うんです。僕自身も囚われている人の一員ですし。
――昨今、空前のホラーブームと言っていいほど、多様なツール、表現からホラーコンテンツが生み出されていると思いますが、なぜこうしたブームが巻き起こったと考えますか?
【落合】個人的には間違いなくSNSとか、YouTubeを筆頭とした配信によって、ホラーに今まで触れなかった人たちがどんどん触れる機会ができたからだと思うんですよね。昔だったら、ホラーって映画とかDVDとかお金を払って能動的に見に行くものだったけど、今はSNSでバンバン流れてくる。だからちょっとしたきっかけでアクセスしちゃいますよね。
――今のお話にあったように、YouTube上では本当に多くのホラーコンテンツが日々配信されています。こうした状況をどう見ていますか?
【皆口】自分はホラーが大好きな人間なので、世の中がホラーであふれるっていうのは非常にうれしいことですね。またYouTubeの動画で言えば、「そんな怖いとこあるんだ!」ってジェラシーを感じることも多いですし、楽しく見ていますね。
――さらに、ホラーの表現方法も急速に進化、変化していますよね。
【皆口】自分たちが始めたころは、ホラーはちょっと下火で世の中のメインストリームではなかったんです。だから喜ばしい一方で、最近はなんだか急速に消費されちゃっている気がしています。今がバブルじゃないことを願いますが。弾けちゃうとホラーがまたアンダーグラウンドなものになってしまいますし、その危機感を少しずつ感じているからこそ、流行りには良い意味で影響されないように意識しています。
【落合】今後、どう変容していくか予想するのは難しいですけど、間違いなく淘汰はされていきますよね。『ゾゾゾ』というコンテンツはホラーが流行ったから何かをしている、動画を出すということは一度もしていない。だから僕たちとしては良いと思う作品を愚直にやるだけかなと思います。
――AIのような技術も出ていますしね。
【落合】ホラーって最新技術を駆使したり、莫大な製作費を掛けたりしたから、めちゃくちゃ面白い作品ができるかと言ったら、そうじゃない。皆口くんはよく「ホラーはアイデア勝負だ」って言っていますからね。だから技術の進歩とともに進化していく業界ではないのかなって、ある種、唯一の業界かもしれないですね。
【皆口】そういう意味では、AIがホラー業界に参入して、人を怖がらせることができるのか、ちょっと見てみたいですね。どんなストーリー、描写なのか。個人的に興味はありますね。
■ホラーエンタテインメント番組『ゾゾゾ』
2018年6月から動画公開をスタート。メインパーソナリティー・落合陽平らが心霊スポットや恐怖ゾーンといった日本全国のゾゾゾスポットをレポートするホラーエンタテイメント番組。現在の登録者数は約111万人を誇る。
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【写真】病室にはベッドが無造作に…タイにある廃病院の衝撃の内部
2018年に誕生したホラーエンターテイメントプログラム番組『ゾゾゾ』。ホラー要素を軸としながらも、メインパーソナリティーの落合ら出演者同士の独特な掛け合いや皆口氏の巧みな映像編集などが人気を集め、現在チャンネル登録者数は100万人を突破している。今月14日に公開された最新作『夏の特別編2026 行ってはイケない恐怖の日本全国ツアースペシャル!』は公開から3日間で再生回数100万回を達成するなど、レギュラー投稿が終了して以降も、根強い人気を誇っている。
■「やってみよう!」で始まった『ゾゾゾ』の撮影 当初の想定は心霊スポット版“食べログサイト”
――チャンネル誕生の経緯を教えてください。
【皆口】自分が落合さんが社長だったベンチャー企業に入ったことが大きなきっかけです。かなり自由な会社だったんですが、ある上司との雑談で「なんかやりたい事業とかないの?」って言われまして。考えた時に、自分が好きで何かできることって、ホラーだったんです。だからそのとき、「ホラーポータルサイトとか立ち上げてみたいですね」って言ったんです。
最初は会社の事業としてやる考えだったんです。それこそ食べログのようなサイトを立ち上げて、広告をつけて、お金になればいいなんて。何も考えてない感じで答えたっていうのが元祖ですね(笑)。
【落合】お酒を飲んだ時に皆口くんから「やりたいんですよね」みたいなのをなんか言われたような記憶が…。当初はホラーの市場もわからないし、何が売れているとか、業界のことを全く知らないっていうのもあって。これはちょっと会社の役員を説得できないだろうなって個人的には思いました。でも(皆口くんから)、意志を感じたので、副業かなんかで個人的にやるんだったら手伝うよって、お酒飲みながら伝えたんです。そしたら、あの第1話ですよ(笑)。ほんとに「え?」っていう感じで、そのときにYouTubeに出すって知ったぐらいです。
――かなり突発的な船出だったんですね。
【皆口】まずやってみようが先行しましたね。落合さんではない、別の上司に「心霊スポットをデータベース化したら面白いと思うんですよね!」って言ったら、「どうやって集めるの?」「そのお金はどうするの?」ってすごい詰められて…。悶々としていましたけど、とりあえず落合さんが手伝うよって言ってくれていたので、心霊スポットに行って、その怖かったか怖くなかったかをレビューする、その過程を動画にしたら楽しくデータベース作りができるんじゃないかって思って、やってしまえ!とは思いましたね。
――撮影当初、動画の方向性など明確に定まったものはあったのでしょうか?
【皆口】テレビで放送されていた『金田一少年の事件簿』『奇跡体験!アンビリバボー』とかを恐る恐る見ていました。また中高生くらいになったらレンタルショップに入り浸って、『呪いのビデオ』みたいなタイトルのDVDをすごく見ていましたね。
特に参考にしているコンテンツはないですが、自分が好きで見てきたホラーの文脈みたいなものは大切にしています。自分が好きなホラーはこういうことしないとか、こういうこと言わないよね、みたいな。こうした感覚は『ゾゾゾ』でも大事にしています。
【落合】感じたことをそのまんま出そうと、考えています、それは『ゾゾゾ』を始めて間もない頃に、「落合さんは視聴者の代表だから」と。「本当は怖いのに怖くないふりをするとか、そういうのは一切しなくていい。そのまま、感じたことを表現してください」って皆口くんから伝えられたんです。だから、今もずっとそうしていますね。
【皆口】落合さんって、昔からお調子者で…(笑)。動画にするとなると、変に自分を作ってしまうんじゃないかと思ったんです。つまらなかったらそれでいいし、怖かったら怖い。「自分が面白くするので、落合さんは自然体で出てください」といったニュアンスで伝えましたね。
――落合さんに加え、内田雅士さん、長尾将三郎さんら、黎明期からそれぞれのキャラが際立っていますね。お二人はどのようにチャンネルに参加していったのでしょうか?
【皆口】動画を撮影して見て、二人きりって結構大変だったので、2話目で内田にスタッフとして入ってもらったんです。長尾くんにも自然な流れで声を掛けていましたね。
【落合】キャラクターに関しては、一緒に動画を作っていく中で自然と分岐していった気がします。それぞれのキャラが立っているなと、やっている自分でも感じています。
■動画クオリティには絶対の自信 突然のバズも「やっと見つけてもらえたかなって」
――2018年にチャンネルを開設し、今に至るわけですが、波に乗ったと感じた瞬間はありますか?
【皆口】それは明確にありました。現在は非公開になってしまっているんですが、第12回『白い家とお化け坂』(2018年11月)は明確に跳ねましたね。それまでは再生回数が100回いったら拍手ぐらいのスピード感だったんですけど、『白い家』のエピソードを出した次の日が撮影だったのですが、落合さんと合流して出発したらもう300回、道中で500回と増えて、登録者数も急増したんですよね。
だからもしかして落合さんが「お金で買ったんじゃないか」って思ったくらいで、信じられない跳ねっぷりでした。でも良いものを作っている自負はあったので、「なんでこんなものが?」っていう驚きは一切なかったです。やっと見つけてもらえたかなって思いましたね。
――今、「良いものを作っている自負」との言葉がありましたが、動画制作の上で大切にしている考え方はありますか?
【皆口】自分はデザイナー畑でやってきたクリエイターなので、作るものにものすごい愛着があるんです。ちゃんと作りたいっていう気持ちが強いから、基本的にゾゾゾは生配信もやらないんです。見ても見なくてもいいものは絶対に出したくない。視聴者さんに対する発信として、「出したものは絶対見てください。面白いので!」っていうスタンスは1話目から変わらないです。
――ゾゾゾチャンネルをジャンル分けしたとき、何が一番適切なのでしょうか?
【皆口】誤解を恐れずに言うと「エンターテイメント」です。1話目の動画の上にホラーエンターテイメントプログラム「ゾゾゾ」というロゴがついている通り、それは当初から決めていました。
ただホラー番組をエンターテイメントと名乗ることの可能性の一方で、危険性も感じていました。だからドキュメンタリーと言った方がいいんじゃないかとかいろいろ考えたんですけど、やっぱり落合さんと番組をやるとなったときに、ドキュメンタリーと名乗ってしまうとおそらく『ゾゾゾ』のやりたいこと、可能性を狭めてしまうなと思ったんです。またちゃんとドキュメンタリーで勝負している方々にも失礼に当たるのではと思い、これはエンターテイメント番組にしようと思いましたね。ただの自称ですが。
■身の危険を感じた撮影も…気になる“お祓い”事情 困難を極める撮影場所の確保
――これまで各地の心霊スポットに赴いていると思いますが、撮影場所はどのように確保しているのでしょうか?
【皆口】撮影の許可を取る際、奇跡的に連絡先がわかるところは、電話やメールもしますけど、そういった場所はほとんどないです。やっぱり現地に行って住所を調べたりして、とかですよね。でも所有者がわからないことがほとんどですし、「いいよ」って言ってくれる場所は少しです。だから撮影を断念する場所はたくさんありました。それこそ視聴者さんから「ここのここが有名なので行ってください」って言われるんですけど、アタックしたけどダメだった場所が多いんですよね。
――これまでの現場で印象に残っている場所、経験を教えてください。
【落合】身の危険を肌で感じたのは、「首狩り神社」「取り残された廃屋」の2ヶ所ですね。心霊的な怖さとは別次元の恐怖ですね。あとは一昨年行ったタイの廃病院です。あそこには儀式の跡があったりして、本当に絶望したんです。しかも何となくわかったんです。ここで実証実験だなって。その時は初めて怖すぎて身体が動かなくなりました。途中大きな音とか鳴るんですけど、もう走れないんです。だから想像の範疇を超えた現象ってあるんだなと。そういったものには恐怖を感じますね。
――視聴者として気になるのですが、毎回お祓いは行くのでしょうか?
【落合】メンバーみんなでとか、会社でお金出してってことは一度もないんですよね(笑)。
【皆口】でも視聴者さんが心配してくださって、塩をよくもらうんです。だからそれを持って帰ったりしています。
【落合】お祓いに行くんですか?ってよく聞かれるんですけど…なんでしょうね。おそらく自分はホラーというものに深入りしていないから、深く考えないんだと思います(笑)。
――でも落合さんのそういったテンション感が多くの視聴者を引き付ける理由にも感じますね。
【落合】そうなんですかね(笑)。個人的に複雑なのは、「怖い!」ってリアクションしたり、逃げたりとかするじゃないですか。それを、イベントに来てくれたファンの方が「いや、あれすごい面白かったです」とか、「落合さんが叫んでいるのがもう笑っちゃうんすよね」みたいな。バラエティとして、その落合のリアクションが面白いんですよねって言われるのは正直うれしいんですけど、うん、ちょっと複雑な…。そんなつもりでやっているわけではないんですけど、それを楽しんでくれる視聴者の方が多いのも事実ですよね。
■チャンネルの魅力は視聴者と作り上げた信頼関係 大事にしている“ゾゾゾ”らしさ
――現在登録者100万人超と、多くの人に支持されている事実があると思います。その理由をお二人はどう考えていますか?
【皆口】やっぱり見なくてもいいような作品は出してない。それが視聴者の方にも伝わっているのかなと思います。だから、信頼関係じゃないですけど、『ゾゾゾ』の新作は間違いないよって。
【落合】やはり緩急があるところが『ゾゾゾ』ならではの部分なんじゃないかと思います。 笑えたり、笑えなかったり、動画の中にそういう要素がちりばめられている。視聴者が見ていて飽きないものになっているのかなとは思います。
――皆口さんも“ゾゾゾ”らしさは大切にしている?
【皆口】すごく大事にしています。だけどそれは出ているメンバーが醸し出すやっぱり味だと思うんです。自分からしたらそれは結果論というか、もう(動画)素材からにじみ出ています。
――皆口さんから見て、特に“ゾゾゾ”らしさが凝縮されていると感じるエピソードはありますか?
【皆口】それは、今年の夏の特別編2026になりますね。これは宣伝ではなくて、本当に今までの中で最も『ゾゾゾ』らしいかもしれない。笑えるところも、怖いところも惜しみなく。両方がすごい主張しているんです。落合さんが話していた「らしさ」みたいなところが、120パーセントぐらい詰まっているんじゃないかなっていう気はしていますね。
――ゾゾゾチャンネルの今後の展望を教えてください。
【皆口】展望と言いますか、今こうして多くの方々に見てもらえている状況に満足しているので、さらに上を目指すぞみたいな気持ちはあまりないんですが、2年後にはチャンネル開設10周年を迎えるんです。だから10周年はいろいろやりたいという気持ちはありますね。
■空前のホラーブームに本音 消費スピードに危機感を感じているからこそ「流行りには良い意味で影響されないように」
――ゾゾゾの魅力をたっぷり語っていただきましたが、そもそもなぜホラーは人を引き付けるのだと思いますか?
【皆口】例えば映像のジャンルとしてアクションやラブロマンスというものがあると思うんですが、好きな人、嫌いな人のほかに、興味がない人って多いと思うんです。その一方でホラーって好きか嫌いかの二択だと思うんです。それって、良くも悪くも人はホラーに囚われてしまっているんだと思うんです。僕自身も囚われている人の一員ですし。
――昨今、空前のホラーブームと言っていいほど、多様なツール、表現からホラーコンテンツが生み出されていると思いますが、なぜこうしたブームが巻き起こったと考えますか?
【落合】個人的には間違いなくSNSとか、YouTubeを筆頭とした配信によって、ホラーに今まで触れなかった人たちがどんどん触れる機会ができたからだと思うんですよね。昔だったら、ホラーって映画とかDVDとかお金を払って能動的に見に行くものだったけど、今はSNSでバンバン流れてくる。だからちょっとしたきっかけでアクセスしちゃいますよね。
――今のお話にあったように、YouTube上では本当に多くのホラーコンテンツが日々配信されています。こうした状況をどう見ていますか?
【皆口】自分はホラーが大好きな人間なので、世の中がホラーであふれるっていうのは非常にうれしいことですね。またYouTubeの動画で言えば、「そんな怖いとこあるんだ!」ってジェラシーを感じることも多いですし、楽しく見ていますね。
――さらに、ホラーの表現方法も急速に進化、変化していますよね。
【皆口】自分たちが始めたころは、ホラーはちょっと下火で世の中のメインストリームではなかったんです。だから喜ばしい一方で、最近はなんだか急速に消費されちゃっている気がしています。今がバブルじゃないことを願いますが。弾けちゃうとホラーがまたアンダーグラウンドなものになってしまいますし、その危機感を少しずつ感じているからこそ、流行りには良い意味で影響されないように意識しています。
【落合】今後、どう変容していくか予想するのは難しいですけど、間違いなく淘汰はされていきますよね。『ゾゾゾ』というコンテンツはホラーが流行ったから何かをしている、動画を出すということは一度もしていない。だから僕たちとしては良いと思う作品を愚直にやるだけかなと思います。
――AIのような技術も出ていますしね。
【落合】ホラーって最新技術を駆使したり、莫大な製作費を掛けたりしたから、めちゃくちゃ面白い作品ができるかと言ったら、そうじゃない。皆口くんはよく「ホラーはアイデア勝負だ」って言っていますからね。だから技術の進歩とともに進化していく業界ではないのかなって、ある種、唯一の業界かもしれないですね。
【皆口】そういう意味では、AIがホラー業界に参入して、人を怖がらせることができるのか、ちょっと見てみたいですね。どんなストーリー、描写なのか。個人的に興味はありますね。
■ホラーエンタテインメント番組『ゾゾゾ』
2018年6月から動画公開をスタート。メインパーソナリティー・落合陽平らが心霊スポットや恐怖ゾーンといった日本全国のゾゾゾスポットをレポートするホラーエンタテイメント番組。現在の登録者数は約111万人を誇る。
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