第31回釜山国際映画祭のオープニングイベントに参加した短編アニメーション映画『しらぬひ』片野坂亮監督
短編アニメーション映画『しらぬひ』(読み:しらぬい)の片野坂亮監督が10月7日、韓国で開催中の「第31回釜山国際映画祭(BIFF)」(10月6日~15日)で行われた公式上映に登壇した。海外初上映を終え、観客とのQ&Aでは、子どもの純粋さの捉え方や、主人公の声を担当したあのの起用理由などを語った。
【画像】短編アニメーション映画『しらぬひ』キービジュアル
本作は、『君の名は。』『すずめの戸締まり』などを手がけたコミックス・ウェーブ・フィルムが送り出す36分の短編。1996年の夏の終わり、熊本の海辺の町で、酒に溺れる父と暮らす10歳の少年・湊を描く。少女の神さま“べんちゃん”を心のよりどころにしていた湊は、児童養護施設への一時保護が決まり、彼女との別れを前に、願いをかなえるという海の不思議な光〈しらぬひ〉に祈りを捧げる。
映画祭では、特別企画「日本アニメーション特別展:狂気の傑作、戦慄の期待作12+1」に選出された。『銀河鉄道999』などで知られるりんたろう監督とともに、これからの日本アニメーションを担う次世代の監督たちが釜山に集結。日本アニメーションの歴史を築いてきた作品と、これからの可能性を感じさせる新作を一堂に紹介する映画祭ならではの機会に、『しらぬひ』もその一本として世界各国から集まった映画ファンに披露された。
7日の上映会場となったCGV Centum Cityでは、上映後に拍手が送られ、涙を流す観客の姿も。Q&Aでは、登場人物の心理や映像表現、声優のキャスティングなどについて質問が寄せられた。
観客の一人は、湊の姿にホラー映画を思わせる表現があることに触れ、監督が子どもという存在をどう捉えているのかを質問。片野坂監督は「邪悪とか、悪いように描こうとは思っていなくて」とした上で、「純粋だからこそ悪にもなれるし、純粋だからこそ環境によって形が変わる」と説明した。子どもの素直さを描こうとした結果、劇中の表現にたどり着いたという。
作品の出発点となったのは、熊本に実在する海辺の小学校だった。「すごく映画的な素敵な風景」だと感じ、20代の頃から、いつかこの場所で映画を撮りたいと考えていたと明かした。
もともとは実写映像を手がけていたが、コロナ禍で仕事がなくなり、アニメーションを独学で学ぶように。その間に経験した人との出会いや別れを通じて、「一生懸命に人を愛そうとする人たちのすれ違いを描きたい」と強く思うようになったと、制作の背景を語った。
湊の声を担当するあのについては、プロデューサーから提案があり、自身もファンだったことからオファーしたと説明。「いろんな声を出すことができていて、すごく若い人たちの痛みを歌にしている」と、その表現に着目し、「人間の心の痛みとか、そういったものを心から表現できる方だと思った」と起用理由を明かした。なお、べんちゃん役は花澤香菜、父・マサル役は三木眞一郎が務めている。
日常の場面では「匂いが伝わるほどのリアリティある背景」を作り込む一方、べんちゃんとの場面は、湊にとって安心できる場所として描いたという。観客からは具体的なキャラクターや場面についての質問が続き、予定時間いっぱいまでやり取りが交わされた。
商業アニメーション映画に初挑戦した片野坂監督にとって、自身の監督作を携えて国際映画祭に参加するのも初めて。6日の開幕イベントでは、黒のタキシードでレッドカーペットを歩き、観客に笑顔で手を振った。
Q&Aの最後には、初めて海外の観客に作品を届けた経験を振り返り、「人生こんなことがあるのかという思いで、今もすごく幸せな気持ちです」と語った。観客から受け取った思いを、今後の制作で「もっと喜んでほしい、もっといろいろ感動してほしい」という気持ちにつなげ、「これからも作り続けられたら」と意欲を示した。
『しらぬひ』は、スペインで開催中の「第59回シッチェス・カタロニア国際映画祭」(10月8日~18日)での特別上映も決定している。"
【画像】短編アニメーション映画『しらぬひ』キービジュアル
本作は、『君の名は。』『すずめの戸締まり』などを手がけたコミックス・ウェーブ・フィルムが送り出す36分の短編。1996年の夏の終わり、熊本の海辺の町で、酒に溺れる父と暮らす10歳の少年・湊を描く。少女の神さま“べんちゃん”を心のよりどころにしていた湊は、児童養護施設への一時保護が決まり、彼女との別れを前に、願いをかなえるという海の不思議な光〈しらぬひ〉に祈りを捧げる。
映画祭では、特別企画「日本アニメーション特別展:狂気の傑作、戦慄の期待作12+1」に選出された。『銀河鉄道999』などで知られるりんたろう監督とともに、これからの日本アニメーションを担う次世代の監督たちが釜山に集結。日本アニメーションの歴史を築いてきた作品と、これからの可能性を感じさせる新作を一堂に紹介する映画祭ならではの機会に、『しらぬひ』もその一本として世界各国から集まった映画ファンに披露された。
7日の上映会場となったCGV Centum Cityでは、上映後に拍手が送られ、涙を流す観客の姿も。Q&Aでは、登場人物の心理や映像表現、声優のキャスティングなどについて質問が寄せられた。
観客の一人は、湊の姿にホラー映画を思わせる表現があることに触れ、監督が子どもという存在をどう捉えているのかを質問。片野坂監督は「邪悪とか、悪いように描こうとは思っていなくて」とした上で、「純粋だからこそ悪にもなれるし、純粋だからこそ環境によって形が変わる」と説明した。子どもの素直さを描こうとした結果、劇中の表現にたどり着いたという。
作品の出発点となったのは、熊本に実在する海辺の小学校だった。「すごく映画的な素敵な風景」だと感じ、20代の頃から、いつかこの場所で映画を撮りたいと考えていたと明かした。
もともとは実写映像を手がけていたが、コロナ禍で仕事がなくなり、アニメーションを独学で学ぶように。その間に経験した人との出会いや別れを通じて、「一生懸命に人を愛そうとする人たちのすれ違いを描きたい」と強く思うようになったと、制作の背景を語った。
湊の声を担当するあのについては、プロデューサーから提案があり、自身もファンだったことからオファーしたと説明。「いろんな声を出すことができていて、すごく若い人たちの痛みを歌にしている」と、その表現に着目し、「人間の心の痛みとか、そういったものを心から表現できる方だと思った」と起用理由を明かした。なお、べんちゃん役は花澤香菜、父・マサル役は三木眞一郎が務めている。
日常の場面では「匂いが伝わるほどのリアリティある背景」を作り込む一方、べんちゃんとの場面は、湊にとって安心できる場所として描いたという。観客からは具体的なキャラクターや場面についての質問が続き、予定時間いっぱいまでやり取りが交わされた。
商業アニメーション映画に初挑戦した片野坂監督にとって、自身の監督作を携えて国際映画祭に参加するのも初めて。6日の開幕イベントでは、黒のタキシードでレッドカーペットを歩き、観客に笑顔で手を振った。
Q&Aの最後には、初めて海外の観客に作品を届けた経験を振り返り、「人生こんなことがあるのかという思いで、今もすごく幸せな気持ちです」と語った。観客から受け取った思いを、今後の制作で「もっと喜んでほしい、もっといろいろ感動してほしい」という気持ちにつなげ、「これからも作り続けられたら」と意欲を示した。
『しらぬひ』は、スペインで開催中の「第59回シッチェス・カタロニア国際映画祭」(10月8日~18日)での特別上映も決定している。"
